来めやとは 思ふものから 蜩の

〜〜〜来めやとは 思ふものから 蜩の

鳴く夕暮れは 立ち待たれつつ〜〜〜    (古今集)

(来るだろうか、来ないのだろうかと思うのだけれど、ひぐらしの鳴く夕暮れはあなたの訪れが立ち待たれてしまいます)

実家の父と毎日散歩をしていた柴犬のはなちゃんは、ガレージの前で父の帰りをずっと待っていた。

7月中旬の猛暑に倒れた父は、点滴の管に繋がれ入院することになった。

今年96歳になる父は母と2人元気に暮らし、介護とは無縁で必要ないと本人も家族も思っていた。

そんな自分は大丈夫と言う過信が不注意を招いてしまった。もうこのまま家には帰れないのではと、不安な日々を過ごしながら1週間が過ぎ面会が叶った。

車椅子に座った父は、すっきりと顔色も良く元気に迎えてくれた。ただ、熱中症の後遺症で歩行が困難になってしまった。

人一倍自分に厳しく頑張り屋の父は、毎日リハビリに励み少しずつ歩けるようになり、更に1週間後車椅子から立ち上って見せた。

家に帰りたいと連絡してくる父にもう1週間リハビリを頑張るように説得し、その間に介護申請が完了、介護士の方々の適切なアドバイスをいただき無事退院することが出来た。

車を降りて歩いて家に入った父の足元から離れず甘えるはなちゃんも元気を取り戻したようで、ひとまずほっとした1日でした。