家にあれば 笥に盛る飯を 草枕

〜〜〜家にあれば 笥に盛る飯を 草枕

旅にしあれば 椎の葉に盛る〜〜〜  「有馬皇子」(万葉集)

 

(家にいれば器に盛る飯を今は旅の途中なので

椎の葉に盛り御食を神に供えます)

 

万葉集を習った頃から有馬皇子の和歌が心に残っていた。

 

飛鳥白鳳時代の北摂地方には

興味深い語り草が多いと言い伝えられている。

 

有馬皇子の母親(小足姫)の生国は

有馬郡日下部(現在の神戸市北区道場町日下部)

付近ではないかと言われており

有馬温泉に行幸の際に生まれたので「有馬皇子」と名付けられた。

父孝徳天皇崩御の時、有馬皇子はわずか十五歳であったが

皇位継承の有力者とされながらも

政争に巻き込まれ十九歳の若い皇子は悲運に倒れた。

万が一の希望を旅の空の下

御食を供え悲しい和歌を詠み

神に祈りを捧げた。