七重八重花は咲けども山吹の

〜〜〜七重八重 花は咲けども 山吹の

實のひとつだに なきぞ悲しき〜〜〜      (兼明親王)

(山吹の花は七重八重に咲くのに実が一つもつかないのは悲しいことです)

 

 

初夏に咲く山吹の花には素敵な逸話があります。

 

武将太田道灌が鷹狩りに出掛けたところ

急に雨が降って来たので

近くの粗末な小屋で蓑を借りようと

訪ねたところ若い娘が出て来て

黙って山吹の花を一枝差し出しました。

花が欲しかったわけではないと

道灌は娘の真意がわからぬまま怒って立ち去りました。

家臣にそのことを話すと

娘は貧乏で道灌様にお貸しする蓑一つもございません

ということを山吹の花に託したのでしょうと

道灌に伝えました。

それを聞いた道灌は自らの無学を恥じ

和歌に精進し立派な歌人になったと言われています。

 

私は楚々とした一重の山吹の花が大好きですが

實が付かないのは八重の山吹だそうです。