たらちねの母がそのなる桑すらに

〜〜〜たらちねの母がそのなる桑すらに

願ヘば衣に着るといふものを〜〜〜    (万葉集)

(私の母が生業にしている蚕ですら、願えば衣となって着せてくれるというのに)

 

初春に鮮やかな緑の葉付けた

桑は枝いっぱいに花を咲かせて

初夏には紫がかった黒い小さな実を

たくさん付けます。

幼い頃、桑の木は身近にあり

桑の実を摘んだ懐かしい思い出が

あります。

かつて日本では養蚕が盛んで、桑の葉っぱは蚕のエサでした。

蚕は桑の葉を食べて美しい真っ白い繭を作ります。

絹の着物はこの繭から作られた生糸で織られ

着物一反を織るのに約3000個の繭を必要とします。

今では国産の絹糸で織られた着物は高級品になってしまい

なかなか手が出なくなってしまいました。

それにしても昔の女性は着物を着てお掃除や洗濯と家事を粉していたわけで

せめて普段着でも面倒と思わず出来るだけ着物を着る機会を持ちたいと思います。

コロナ禍の今、日本の大切な伝統文化である茶道と同様に

着物の文化も継承出来ればと願います。